第六大陸 全二巻

売りとしては技術的・政治的によく練りこんであるな、という話。
その分ヒロインの天才性とか、第六大陸を作る動機とか、苦労性の主人公の性格などの描写が弱くなっているかもしれない。

舞台は近未来とはいえ、そう遠い未来でもない。国家の無責任さ、マスコミの身勝手さ、日本人の官僚主義とか、現実そのままだ。そのあたりを描写する社会的な視線は次作にも引き継がれている。日本の宇宙開発の官僚的な側面、早い話が道路公団のような性格が改められて、トヨタをはじめとした自動車産業のようになればいいのになぁ、と共感してしまう。

年金だなんだと問題点は多いけど、技術立国として、交易国家としてしか生きていくことのできないこの国が技術に目をむけなくなったら困るのにねぇ。

ところでヒロインを萌え系で脳内設定していたおいらはDQNですかね?

評価:買い!

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)